こんにちは。分析おたすけマンこと、山根です(Twitterはこちらから)。
トヨタの豊田章夫社長、日本経済団体連合会(略して経団連)の中西宏明会長らが「終身雇用は難しい」と発言したことがニュースとなっています。
終身雇用の崩壊はとっくにわかっていたことだけど、豊田章男会長と経団連の中西会長の口からこの発言が出るとなかなかショックですね😅
・複業という形で仕事を流動的にする
・転職は躊躇しない
・副業はいますぐ始めよう個人の負担は大きくなっていくので覚悟が必要です!https://t.co/UYmqukxtXj
— ヤマネ@分析おたすけマン🧐📊 (@Hackagogo) May 13, 2019
この終身雇用崩壊のニュースを見て僕が思ったことは、

転職、副業、複業を推奨している当ブログとしては、この発言について思うことがあったので記事にします。
終身雇用とは?なぜ今またメディアで取り上げられるのか?
終身雇用とは、企業が正社員として働く従業員を定年まで雇用することを指して使われる言葉。
法律などで明確にルールとして定義されたものではありません。
つまり企業それぞれが自社の努力として、終身雇用を取り入れているのが実情です。

僕のまわりの人には、新卒入社して同じ会社でずっと勤めている人はほとんどいません。
みんな一度や二度は転職を経験していますし、フリーランスとして独立した人も多いです。
なかには起業した人もいます。
とくにロスジェネ世代と呼ばれる現在の36歳~48歳は、就職氷河期を経験しています。
新卒での就職に失敗している人が多い世代でもあるので、転職をしないと収入面で厳しいという理由はあると思います。
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1990年代からの経済低迷期を「失われた20年」とも言いますが、その時代に終身雇用は崩壊していたとも言えます。
終身雇用の始まりは1950年頃。松下幸之助のエピソード
そもそも終身雇用という概念が認識されるようになったのは、パナソニック(旧松下電器)の創業者である松下幸之助からと言われています。
松下幸之助イズムの象徴である「人間大事」の考え方。
こんなエピソードがよく語られます。
売上半減、在庫も溢れてしまい、工場建設後で資金も不足している苦境のおり、松下幸之助は病床にありました。
2人の幹部の「従業員を半減するしかない」と進言にもかかわらず、松下幸之助は言いました。

しかし従業員には日給の全額を支給する。
生産は即日半減するが従業員は1人も減らさない。その代わり、全員で休日も返上してストック品の販売に努力すること。
つまり「従業員の将来は保証するから頑張れ」ということです。
士気が高まった従業員たちが一致団結して販売に努力。
その結果、わずか2カ月で在庫を売り尽してしまったそう。
その後、工場は半日操業をやめてフル稼動を再開。
会社はさらに成長したというエピソードです。
終身雇用が日本の経済発展を支えたのは事実
ジェームズ・アベグレンというアメリカの経済学者は

と言いました。
ジェームズ・アベグレンの本はこちらです。
終身雇用は、新卒一括採用と合わせて海外では類を見ない雇用戦略と言えます。
松下幸之助のエピソードにもあるとおり、「長く一緒にやっていく」というのは、日本人の性格・文化にあったものだと言えるかも。
ちなみに創業が200年以上の企業は世界に5586社あり、そのうちの半分以上にあたる3146社が日本にあるのだとか(それに次ぐのは837社のドイツ、222社のオランダ、196社のフランス)。

今の時代は第四次産業革命と言われるほど変化の大きい時代
なぜ終身雇用は崩壊してしまったのか?
ちょっと考えてみたいと思います。
と、その前に「産業革命」の説明を簡単にしておきます。
- 工場の機械化である第1次産業革命
- 電力を用いた大量生産時代の第2次産業革命
- 電子工学や情報技術を用いたオートメーション化が進化した第3次産業革命
そして今の時代は第4次産業革命と言われていて、IoTやビッグデータをAIに与え起こる産業革命だと言われています。
下記が核となる技術革新です。
- 一人ひとりのニーズに応じたOne to Oneサービス
- シェアリングエコノミー
- ロボットや自動運転の技術
- フィンテック(FinTech)の発展
技術革新のひとつであるシェアリングエコノミーについて書いた記事があるので、あわせて読んでみてください。
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第4次産業革命と言われる時代。
技術革新に対応していくのは、なかなか難しいことです。
景気動向やグローバル競争の激化、少子高齢化による社会保障の不安の中、経営が苦しくなっている企業は多くあるんですね。
企業の対策としては、まずは技術革新についていける人材が必要ということで組織改革が進みます。
- リストラによって正社員を減らし、派遣雇用者を増やす
- 外部への業務委託を増やす
- 転職市場の活性化により、即戦力となる優秀な人材を確保
要するに、無駄を省いて少ない投資でリターンを得るという経営にシフトしている感じです。
そこに下記のような要素も加わり、個人レベルの働き方も多様化してきました。
- 会社に依存しない個人の価値観の変化
- 働き方改革
- 国による副業推進
- テクノロジーの変化によるリモートワークやテレワークの導入
外部への業務委託の増加は、20兆円を突破したといわれるフリーランスの経済規模増加にも繋がっていて、今後もさらに成長することが予測されています。
というさまざまな要因によって、終身雇用を維持している企業はレアな存在となりました。
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終身雇用が崩壊するデメリット
終身雇用が崩壊するデメリットってなんでしょうか。
- 人材が育たない
- 会社への忠誠心が育たない
という感じですかね。
個人レベルで言うと住宅ローンなどの長期的なローンを組むのは難しくなるかもしれません。
人材育成という点ですが、これは自社業務に関して業務を遂行できる人材ということ。
「プログラミング」「マーケティング」といった広義のスキルではありません。
つまり、その会社でしか役に立たないスキルと言えるかもしれません。
会社への忠誠心という点では、日本はステレオタイプに長時間労働をすることで表現していたのではないか? とも思います。
「24時間働けますか?」「モーレツ社員」と言われていたように、会社のために残業し、休日は接待ゴルフ。
「男は働きに出ることが当たり前で、それが正しい」みたいな考え方です。
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逆にメリットは?
終身雇用がなくなるとどんなメリットがあるのか考えてみました。
- 女性の労働機会、再雇用が増える
- 個人のスキルアップや学習意欲が高まる
紛れもない事実として、終身雇用の時代には、結婚や出産などで会社を辞める可能性の高い女性を雇わない会社があったと思います。
そして、リストラされないため、もしくは条件の良い転職をするために、今後はますます個人レベルの学習意欲が高まるだろうと思います。
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つまりリストラ? 45歳早期退職の嵐が吹き荒れる
大手企業は今、「早期希望退職」という名のリストラで、45歳以上の人員整理に走っているというニュースもありました。
→ 早期退職しない限り面接が続き…「45歳以上クビ切り」横行中(Yahoo!ニュース)
早期希望退職、退職勧奨という名のリストラなのですが、こういう状況になってしまうと心も体も疲弊します。
会社に貢献してきたというプライドを持っているでしょうから、なおさら心が痛いです。
少なからず会社に貢献して、給料を上げてもらえるほど頑張ってきた従業員に対し、「会社の戦力としては弱くなったから、やめてほしい」ということですからね。
45歳という立場とイチロー選手の引退
45歳という年齢を早期退職の基準とする理由としては
→つまり45歳前後は給料が高い人が多い
→この世代を切れば、コスト削減の効果が大きい
こういったロジックです。
45歳と言えば、偶然にもイチロー選手が引退した年齢ですね。
イチロー選手の引退会見(名言が満載)
引退試合では、イチロー選手が若い菊池雄星投手に意思を引き継ぐように声をかけるシーンがありました。
僕個人の意見を言わせてもらうなら、40歳を過ぎたら若い世代に会社員という働き方を譲る。
そして自分自身は新しいチャレンジを始めるというのが理想ではないかと思います。
そのチャレンジを成功させることができれば、また若い世代に知識や経験を引き継ぐことができますよね。
安定とは程遠くリスクも伴いますが、後の世代の事を考えて世の中を良くする。
これが今の時代を生きる僕らの最低限の役割ではないかと思います。
若い世代に伝えたいこととして、会社員という働き方は、良くも悪くも経験を積めます。
一度は会社員をしておいても損しないかなと思います。
まとめ:会社と個人の付き合い方は、その人の人生をクローズアップすること
働き方の多様化が、「進化」なのか「混迷」なのかは時が経ってみないとわかりません。
ただ言えることは、今できることをやるしかないということです。
働くことに求めることは人によって違うかもしれません。
お金なのか?
心の充実なのか?
将来の目標のためなのか?
哲学者ニーチェは言いました。

つまりは自分の解釈が生き方を決めるということ。
1つの情報に踊らされないで、さまざまな情報を違った角度から捉えるよう努力することが大切だと思います。
マーケティング・広報視点から考えた「終身雇用崩壊の解答」

働き方というのは、経営や人事視点で考えてしまうと、重く面白くない話になってしまうので、マーケティングもしくは広報戦略といった視点で考えるべきだと思ってます。
働き方という課題を解決するならば
- その企業の在り方を明確にできる
- 個人の働き方への共感を得られる
これらを生みやすいと考えています。
「日本の会社は孤独養成装置だ」というビベック・マーシー(元、米公衆衛生局長官)の論文が話題となりました。
日本は「孤独先進国」だそうで、しかも「孤独は伝染する」とあります。
多くの人が故郷を離れ働き、「縁」の受け皿となる会社は、人の時間を吸い上げるだけ。
上下関係や肩書に依存するコミュニケーションは無理ゲーすぎます。
そこで本当のコミュニケーション(つながり)を作り、同僚や仲間のストーリーを共有しましょう。
具体的な施策は以下のとおり。
- インターナルコミュニケーション(社内広報)を強化
- エンプロイーエンゲージメント(従業員満足度)を指標とする
- 社内ユーザー・エクスペリエンス(従業員の挑戦)を取り上げる
- 退職後の第3ステージの準備期間をわかりやすく社内教育する
人の人生にフォーカスして、人間らしさを見せる。
これが今の時代に求められる解答ではないでしょうか。
なぜ働かなければならないのか?を考えるときにオススメの本
今回の記事に関連したオススメの本も紹介しておきますね。
オフィスコミュニケーション改善士として著書多数の沢渡あまねさんの本。
広報職のご経験もあるそうで、発想の起点が面白い方です。
働くことに対する意識を作るために、図解入りでわかりやすく「仕事」について解説された本。
中学生、高校生にもオススメです。
日本だけではなく世界でも「雇われる」という働き方の崩壊が起きています。
この本では、新たな時代に向けた戦略が提唱されています。

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