「考える」というのは本当にむずかしいと感じます。
「このままじゃダメだ」
「なんとかしなくちゃ」
「誰かに相談するべきだろうか」
「どうすればいいんだろう」
これ、考えているようで、実は何も考えていないと言えます。
「じゃあ、本をたくさん読んで知識を増やそう」
確かに知ることで、「情報に基づき思考の結果」を導き出せることはあります。
しかし、これは自分が「考えた」といえるでしょうか?
今回の記事では「2×2マトリクス分析」という思考を整理する分析方法を紹介します。
さまざまな場面で活用できる分析方法です。
知っておくと「考える」という能力が一段階バージョンアップするはず!
この記事でわかること!
- マトリクス分析の具体例
- 有名な4つのマトリクス分析を知ろう
- 判断基準が多いと決められない罠

世の中は複雑です。とくにビジネスの世界は本当に複雑。でも複雑な問題を複雑に考えても問題は解決しません。そんなときにおすすめなのがマトリクス=2軸思考です。
マトリクス分析とは?
マトリクスとは日本語で「行列のこと」。
マトリクス分析は広い視点で考え、問題をシンプルにしてから行動したいときに役立ちます。
どうするかと言えば、たった2本の線を引くだけです。
僕は長年マーケティングの仕事をしていますが、売りたい商品のターゲットを考えるとき、まずマトリクスにして考えます。
読者ターゲットを考えながらブログの記事を書くときもマトリクスです。
例えばこんな感じ。

マトリクスはマーケティングに限らず、いろいろな場面で活用できます。
わかりやすい例を挙げますね。
林修先生のマトリクス例
「いつやるか? 今でしょ!」の林先生はテレビ番組でもよくマトリクス分析をして、物事を説明されています。
ある番組で林先生が高学歴ニート数名に授業をしていました。
仕事をするうえで
- やりたいこと
- できること
どちらの軸で考えるといいのか? というテーマでした。

社会に出て働くにあたって、「赤の縦軸」それとも「青の横軸」のどちらの軸で考えるか。
「大げさではなく人生の分かれ目」と林先生は言います。
このことをマトリクス分析を使って考えてみましょう。
赤の縦軸で分ける人は「やりたいか」「やりたくないか」で物事を判断する
授業を受けた人は「やりたいことしかやりたくない」に手を挙げていました。
僕もそうですし、誰だって「やりたくないこと」は避けたいですよね。
青の横軸「できる」「できない」が大事
しかし、林先生は青の横軸「できる」「できない」が大事だと言います。
この場合、「できる」「できない」は社会の評価です。

①の枠
「やりたい」しかも「できる」というのは一番幸せ。
スティーブ・ジョブズも「私は本当に好きな物事しか続けられないと確信している。何が好きなのかを探しなさい」ということを言っていますよね。
②の枠
林先生はやりたいことにチャレンジしたが、結果は大きな借金を抱えるほど失敗したそうです。
そこで②の枠である「やりたくない」しかし「できる」ことに再チャレンジ。
それが予備校講師でした。
そうして今の成功を手に入れたんですね。
③④の枠
③の枠「やりたくない」しかも「できない」は人生を不幸にするので避けるべき。
④の枠「やりたい」けれど「できない」も微妙ですよね。
スポーツ選手とかアイドルといった特殊な職業は④に当てはまるかもしれません。
林先生の数学的思考が学べる本
林先生は現代文の講師ですが、数学的な思考の持ち主。
ご本人いわく、何かを考えるときはすぐにマトリクス図が思い浮かぶそうです。
著書はとても勉強になるのでおすすめ。
続いて、もうひとつ具体例を挙げてみます。
社会派ブロガーちきりんのマトリクス例
ちきりんのブログは独自の視点があって面白いですよね。
僕は大好きです。
月間150万PVを集める人気ブロガーも、判断基準をシンプルにするためにマトリクス分析を用いるそうです。
ちきりんがマトリクス分析の例に挙げたのは、「婚活女子の2つの判断基準」について。
婚活女子は重視すべき「判断基準」を2つに絞り込み、判断できるよう身構えているとのこと。

判断基準をシンプルにするとは?
①の枠
ここに当てはまるような男性。
経済力もあり、相性もいい相手が現れたら「即ゲット」でしょう。
まぁでも実際には①に当てはまる男性は多くありません。
②③④の枠
ちょっと蛇足になりますが……。
婚活女性はどういう男性を選ぶでしょうか?
②の枠に当てはまる「経済力は低いけれど、性格や趣味が合う人」?
③の枠に当てはまる「経済力が高いけれど、イマイチ合わない人」?
多くの婚活女性は③だそうです。
経済力・・・相手に求める条件
相性・・・自分が歩み寄れる条件
という理由だそうです。
勉強になりますね。
男性は経済力を付けましょう。
ちなみに④が圏外なのは伝えるまでもありません。
ちきりんの思考法が学べるおすすめの本
ちきりんのブログが人気なのは、他人とちょっと違う独自の視点や考え方に理由がありそう。
そういった思考の技術はマトリクス分析から生まれているそうです。
マトリクス分析のメリットと、使うときの注意点
林先生とちきりんのマトリクス分析はわかりやすい例でしたね。
マトリクスは思考の整理に使えるということがお分かりいただけたと思います。
それではマトリクスを使うメリットをまとめてみますね。
- 判断基準を絞ることで、複雑な問題の本質が見える
- 2軸の切り口から掛け合わせて新たな気付きが得られる
- 視点を広げてくれる
- 分類が簡単で、分析に不慣れな人にも使いやすい
逆にマトリクス分析を使うときの注意点も理解しておきましょう。
- 2つの軸を探すのが難しい
- マトリクス分析をする項目はモレなく、ダブりなく、同じレベルで考える必要がある
慣れないうちは、今から紹介する「4つのよく使われるマトリクス」を使ってみてください。
慣れてきたら、自分オリジナルのマトリクスが作れるといいですよね。
4つのよく使われるマトリクス
マトリクスを活用するなら
- ペイオフマトリクス
- 重要度と緊急度のマトリクス
- PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス)
- アンゾフの事業拡大マトリクス
この4つを知っておくと便利です。
大抵のことは、この4つのマトリクスで解決できるはず。
詳しく紹介しますね。
ペイオフマトリクス
複数のアイデアや施策の優先順位を付ける際に役立つマトリクスです。
横軸・・・成果・効果
縦軸・・・どのくらいのお金や人手が必要からというリソース
を置いて分析します。

優先順位としては
①>②>③
ですね。
④は避けるべきです。
重要度と緊急度のマトリクス
このマトリクスは有名な『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)で紹介されているものです。
人間は「緊急かつ重要なこと」はやりますが、「緊急ではなく重要なこと(第Ⅱ領域と呼ばれます)」はやらないで終わりがちです。

項目をマトリクスで分類し、第Ⅱ領域に費やす時間を増やす、もしくは効率的に行うことが人生の豊かさに繋がるとスティーブン・R・コヴィーは書いています。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス)
このマトリクスはボストン・コンサルティング・グループが開発したもの。
「市場シェア」と「成長率」の2軸で事業を分類します。

それぞれの枠を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」というように分ける考え方です。
花形
多額の設備投資が必要だが、これから伸びていく事業。
金のなる木
投資を最小限にとどめて利益を生むことができる事業。金のなる木で生んだキャッシュを「花形」に投資することで、さらなる成長を狙える。
問題児
市場シェアを上げて、花形に成長させたい事業。投資をして育てる必要がないと考える。
負け犬
撤退を検討する必要がある事業。
アンゾフの事業拡大マトリクス
経営学者であるH.I.アンゾフが提唱した企業の成長戦略を考えるためのマトリクス。
横軸・・・製品、サービス
縦軸・・・市場
を置きます。

考え方は以下のとおり。
①市場浸透
既存顧客の購入、利用頻度を上げることで成長。
②新製品開発
新製品を開発し、既存の市場に販売することで成長。
③新市場開拓
既存の商品を新しい市場に販売することで成長。
④多角化
新商品を新市場に出していくリスクの高い項目。ベンチャー企業はここに属します。
まとめ:細部を省略し本質を見るためにマトリクス分析を使おう
代表的な4つのマトリクスを紹介しました。
最後にポイントをまとめますね。
- マトリクス分析で「思考」を整理。「考える」という行動をバージョンアップしよう。
- 有名な4つのマトリクスを定型フレームとして利用しよう。
- 最終的には自分オリジナルのマトリクスを作ってみよう。
複雑な問題に直面したとき、みなさんならどうするでしょうか?
まず行動を起こす?
上手くいけばいいのですが、思いつきで行動すると時間ばかりが過ぎてしまい、状況は悪化する場合も考えられますよね。
ただ「あれもこれも」と言っていたら、なにも決まらなくなります。
そのことに気がつき、判断基準を絞り込んだ人だけが結果を得られることができるんですよね。
僕もWebサイトの成果が上がらないとき、闇雲に行動してしまい失敗した経験があります……。
優先度の高い基準を選び、選択肢や事象を見ましょう。
そして細部を省略し、本質を見ることでポイントを浮かび上がらせるのです。

ぜひマトリクス分析を使ってみてください。
マトリックス分析をはじめ、ビジネス分析におすすめの学習ツールはいくつかありますが、当ブログ(ライフ・チェンジング・ハックス)が圧倒的におすすめしたいのは、「グロービス学び放題」です。
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