「髪を切ることが必要なのかを床屋に聞いてはダメだ」とは、投資の神様であるウォーレン・バフェットの名言です。
同じように、資産運用のことを銀行や証券会社に相談してもカモにされてしまうかも……。
保険料の二重払いなど、不適切販売が発覚したかんぽ生命の件もあります。
信託とは「信じて託す」と書きますからね。
このような不安は、投資をすることに抵抗を持つ原因だと思います。
僕自身、「株や投資って、元本がマイナスになったという話も聞くし、なんだか難しそう」という理由で遠ざけていました。
しかし、記憶に新しい老後2000万円問題に関する一連の騒動。
ベタですが、いろいろと自分の資産について考えるきっかけとなりました。
この騒動後、NISAやiDecoの問い合わせは爆発的に増えているそうです。
自分の資産をどう増やすか?
「個の時代」に突入していくなかで、自分の資産を国や会社に任せっきりにしないことが大事だと考えを改めました。
けれども知識が乏しいのは悲しいところ。
「自分一人で、あれこれと考えてもわからない!」というわけで、2019年8月24日に開催された「会社員とフリーランスの資産形成、iDeCoとつみたてNISAを一日で学ぼう」というセミナーに参加してきました。

セミナーに参加したかったけど、「日程が合わなかった……」「すでに申し込みが締め切られていた……」という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、参加できなかった方に向けて、セミナーの模様をお伝えしていきます。
このセミナー、告知早々に満員になるほどの人気でした。
本ブログ「ライフ・チェンジング・ハックス」では、セミナーの模様を「つみたてNISA編」と「iDeco編」の2回に分けてお伝えします。
今回は「つみたてNISA編」です。
「会社員とフリーランスの資産形成」はどんなセミナー?
イベント「会社員とフリーランスの資産形成ーiDeCoとつみたてNISAを一日で学ぼう」は、投資の始め方を解説している情報サイト「FUNDAVI」を運営する株式会社キュービックが開催。
セミナーに登壇したのは、ネット上で活躍中のお二人。
- 小林亮平さん(写真左):Twitterのフォロワーは3.3万人。元銀行員ブロガー。
- 大河内薫さん(写真右):フリーランス税本は4.8万部突破。人気Youtuberでもある税理士。
お二人の話をリアルに聞ける貴重な機会となりました。
セミナーは、前半が小林さんによる「つみたてNISA」、後半は大河内さんによる「iDeCo」、そして最後に2人への質疑応答という進行。
トータル2時間半の充実した時間になりました。

セミナーの話を聞いて、自分にとってメリットがあることから始めるつもりです。
つみたてNISAのはじめ方
まずは、小林亮平さんによる「つみたてNISAのはじめ方」から、セミナーはスタート。
下記は、小林さんの公式プロフィールです。
以前から「BANK ACADEMY」は、よく読ませていただいていました。
三菱UFJ銀行出身。退行後は20-30代の資産形成について個人ブログ(BANK ACADEMY)やSNSで発信。個人投資家でもある。日経ビジネスや集英社などの取材やセミナーの開催などでお金の話を親しみやすく伝えている。

なるほど。
そのつまずくポイントを理解できれば、自分が「つみたてNISA」をどのように利用すべきかわかりますね。
そもそもNISAとは?
NISA(ニーサ/Nippon Individual Savings Accountの略)とは、少額投資非課税制度のこと。
これだけ聞いてもよくわかりません。

長く運用して得た利益に税金がかからないのは大きなメリットです。
通常、株式や投資信託の場合、売却して得た利益や受け取った配当には、約20%の税金がかかります。

月3万円を20年積み立てたとすると、元本は720万円。
その元本を利回り3%で運用できたとすると――
- 税金を20%引かれた場合→920万円
- つみたてNISAの場合→980万円
というように60万円も差が生まれます。

「NISAって耳にしたことはあるけど、よく知らない」という方は、小林さんのブログ「BANK ACADEMY」の記事も読んでみてください。
「つみたてNISAについて知りたい!」と思ったあなたへ、この記事で分かりやすくまとめていきますね。 結論を言うと、つみた…
NISAとつみたてNISAの違い
ちなみに、一口にNISAといっても3種類あります。
- NISA
- つみたてNISA
- ジュニアNISA(0~19歳を対象。口座は親が管理)
「NISA」と「つみたてNISA」を比較した表がこちら。
もし投資を始めるとしたら、自分に合うのはどちらなのか? ということを考えながら見てみました。

一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
年間投資額 | 120万円 | 40万円 |
非課税運用期間 | 5年 | 20年 |
投資商品 | 株・投資信託・ETF・REIT | 投資信託・ETF(商品が厳選) |
購入方法 | 一括or積立 | 積立のみ |
どんな人向き? | 柔軟に買いたい | コツコツ志向 |
大きな違いとしては、
- 年間投資額の上限が違う。つみたてNISAは年間40万円までなので月々3万円ほど
- 非課税の運用期間が違う
- 投資できる商品の数が違う
という感じです。
「つみたてNISA」は、投資初心者や、コツコツ運用したい方におすすめだそうです。
つみたてNISAのメリットは商品が厳選されていること
普通のNISAに比べ、利用できる商品が厳選されている「つみたてNISA」。
初心者でも、変な投資商品を購入する心配が少ないと言われています。
「商品が厳選される」というイメージについて、小林さんはわかりやすく説明してくれました。

株や投資商品は、国内だけで6000本あると言われているので、かなり厳選されていることになります。
商品の厳選された「つみたてNISA」のメリットは、
- 初心者にもわかりやすいこと
- 「手数料」が少なくすむこと
- 購入方法は月々の積み立てだけなので、計画的に投資できる
という点を挙げられていました。
なぜ「つみたてNISA」は投資初心者におすすめなのか?
一般のNISAのスタートは2014年1月、「つみたてNISA」は2018年1月からスタート。

投資初心者でも、利用しやすいのが「つみたてNISA」。
下記のような考えのもと、制度は作られたようです。
- 日本人の性質として長期的な積み立てが好きなこと
- 非課税の運用期間を長くし、長期の投資をしてもらうため

投資初心者が投資しやすい制度が「つみたてNISA」と言えます。
なるほど。
「NISA」と「つみたてNISA」、それぞれに良いところがあるんですね。
つみたてNISAのメリット、デメリット
「つみたてNISA」を「一般NISA」と比較しながら知ることで、かなり頭の中を整理できました。
とはいえ、投資にデメリットは付きものです。

メリットとデメリットについては、しっかり把握しておきたいところですよね。
その点についても、小林さんは丁寧に説明してくれました。

つみたてNISAのメリット
- 利益が非課税で、非課税期間も長い
- 選べる投資商品が厳選
- 月100円から始められる(ネット証券に限られる)
- いつでも払い出しOK(iDecoは60歳まで払い出しできない)
- 年齢の制限なし
つみたてNISAのデメリット
- 一括購入不可で積立オンリー
- 非課税枠の再利用ができない
- 特定口座ならできる損益通算が不可
- 金融機関を1つしかえらべない

「つみたてNISA」は、売らないで長期に保持していく「バイ・アンド・ホールド」という戦略が推奨されているからですね。
しかし、デメリットを差し引いたとしても、魅力的な制度。
資産運用の最初の一歩としては、おすすめです。
おすすめの投資信託
僕のように「投資信託って何?」という知識レベルの方も多いのではないでしょうか。
投資に慣れていないと、具体的に何を買えばいいのか迷ってしまいます。

つまり投資信託とは、株式や債券のデパートです。

- 「つみたてNISA」自体が投資商品ではない
- 「つみたてNISA」は箱
投資信託である「つみたてNISA」には、1つの商品にいろいろな株式や債券が入っています。

「投資信託」であれば、1社の株が下落しても、他の投資商品でカバーできるから大きなダメージになりません。
「分散投資は大事」とも言いますが、「つみたてNISA」が利用しやすい理由でもあります。

投資信託を選ぶポイント
投資信託を選ぶポイントとして、
- 値動きが比較的小さい「ローリスクローリターン」
- 値動きが比較的大きい「ハイリスクハイリターン」
を知っておくといいそうです。
投資信託に含まれる「債券」はローリスクローリターンで、「株式」はハイリスクハイリターン。
それに加え、どこの国の債券か株式かという条件も加わって、投資信託はできています。

ちなみに私は長期の運用を考え、株式100%の投資信託に投資しています。
値動きが大きいと、日々の精神的な負担が大きくて嫌だという方は、債券を混ぜて投資するのをおすすめします。

購入した投資商品の値動きを、自分がどれだけ許容できるか(リスク許容度と言います)を考えながら、分配することが大事。
「増えた、減った」で、毎日のように一喜一憂していると疲れてしまいそうです。
もう1つ、投資信託を選ぶポイントとして大事なのは「手数料」。
手数料について、詳しく知りたい方は、小林さんのブログ「BANK ACADEMY」のこちらの記事がおすすめです。
利益が出ても税金がかからないつみたてNISAは大変お得な制度ですが、けっしてメリットだらけではありません。 普段使う特定…
小林さんがおすすめする投資信託
20年間の長期で運用する前提で、小林さんがおすすめする投資商品を紹介してくれました。
1つひとつの商品をチェックして、目星を付けたそう。
これは大いに参考になりますね。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

小林さんも購入しているというこちらの投資信託。
リスク許容度「高」の投資信託の中で、とくにオススメということで紹介。
アメリカの主要な500銘柄で構成されたS&P500は、150年もの間、右肩上がりを続けています。
Facebook、Amazon、Airbnb、Uberなど、アメリカから世界の市場を牽引する企業は、どんどん出続けています。
今後も余程の事がないかぎり、この動きは続いていきそうです。

アメリカだけに投資するのは不安という方が、全世界に分散したとしても、半分以上は米国株になっていることが多いようです。
ですから、アメリカを中心に購入して、世界全体にも広げ、リスクを分散するという投資方法も検討できそうですね。

何を選んだらいいんだろうというときは、分散して世界全体に投資すればOKです。
アメリカが伸びそうだと思ったら、運用開始後に米国株の比重を増やすという考え方もアリです。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

ミドルリスクミドルリターンの投資商品として紹介してくれたのが、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」という投資信託。
最近、すごく人気の投資信託だそうです。
国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内不動産投資信託証券、先進国不動産投資信託証券という8つの資産に分けて運用するという投資です。
たわらノーロード バランス(堅実型)

リスク許容度「低」の投資信託として紹介してくれたのが、「たわらノーロード バランス(堅実型)」。
「つみたてNISA」には株式100%の投資信託はあっても、債券100%の投資信託はありません。
その中でも債券比率が高いのが、この投資信託だそうです。

投資信託は複数所有がおすすめ
長期的に投資を継続することを考えていても、運用している会社の都合で「早期償還(満期前に払い戻しされること)」される可能性はゼロではありません。
そのようなことを踏まえると、複数の投資信託を持っておくことがおすすめだとか。
先に紹介した3本の投資信託を含めた「つみたてNISA」のおすすめ商品を9つ教えてくれました。

■ハイリスクハイリターンの投資信託
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)もしくはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
■ミドルリスクミドルリターンの投資信託
- eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
- <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
- つみたて4資産均等バランス
■ローリスクローリターンの投資信託
- たわらノーロード バランス(堅実型)
- 楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)
- 三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)

僕も最初は1本で3万円の投資をしていましたが、今はハイリスクハイリターンで紹介した3本の投資信託に分けて、各1万円ずつ運用しています。
セミナー後に、小林さんがおすすめする9商品と比較しながら、他の「つみたてNISA」の投資信託も調べてみました。
理解が深くなって、投資への興味が強まるので、みなさんも試してみてください。
投資信託って商品名が難しくて、商品の内容も理解しにくいです。
まずは投資信託の商品名でググりながら、詳しい内容を見ていくと理解が早まります。
はじめただけで終わりにしない! 出口戦略を考えよう
非課税期間は20年、年間投資額の上限が40万円の「つみたてNISA」。
つまり2019年に購入した40万円分の投資信託は、2039年に非課税期間が終わるということです。

勝手に課税口座に移るだけです。
コツは必要になった金額だけ、その都度「売る」ということ。
毎年5%というように、定率で払い戻していく考え方もありだそうです。
非課税期間が終わって、払い戻すときの「出口」も考えながら投資していくことが大事なんですね。

暴落したタイミングで売るというのは、一番良くありません。

勉強になります。
iDecoとの比較
小林さんのセミナーの話をまとめます。
- 先進国の中でも人口が増加していて、有望な企業がどんどん出ているという点で米国株は強い。
- 「eMAXIS Slim全世界」は、投資信託のなかでも手数料が安い。
- アメリカは強いと言っても、先のことは誰にもわからない。全世界のほうが無難。
- とりあえず世界全体に投資しておけばOKかなという考え方でいい。
- 「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は最近すごく人気の投資信託。
- 早期償還に備え、複数保有がベター(推奨は3本)。
- 出口戦略は大事。必要な分だけ都度売るという考え方をしよう。
- 大事なのはいっぺんにすべて売らない事。
- 「つみたてNISA」は2018年から始まって、まだ暴落したことはない。
上記の点を踏まえ、iDecoとの比較を自分なりに考えてみました。
- 20代~30代前半であれば、断然「つみたてNISA」が魅力
- 40歳以上で、そこそこの収入がある会社員であれば、iDecoのほうが魅力
大きく稼ぐというよりは、コツコツと蓄える「つみたてNISA」と「iDeco」。
その人の状況や将来設計によって、どちらが適しているかは違ってきます。
大河内先生による「iDeco」セミナーのレポートも近日公開する予定なので、あわせて読んでみてください。
つみたてNISAの口座開設
「つみたてNISA」の口座を開設するには、税務署の審査があるため、3週間~1カ月程度かかります。
証券用の口座を開設したら、いよいよ積立開始です。
小林さんが言うには、口座開設はネット証券がおすすめとのこと。
選べる投資信託が多い楽天証券とSBI証券が、とくにおすすめだそうです。
はじめるにあたっての手順は、「BANK ACADEMY」のこちらの記事を参考にしましょう。
『楽天証券』と『SBI証券』って、どちらが良いか気になりますよね。 両方とも愛用しているヘビーユーザーの自分が、2つを徹…
まとめ:資産運用は自分のリスク許容度を考え、長期で運用しよう
この記事では、ブロガー小林亮平さんによる「つみたてNISAのはじめ方」をレポートしました。
投資初心者である僕にもわかりやすい説明で、理解が深まりました。

自分の資産といえば、金融庁・金融審議会報告書の報告により、老後2000万円問題に関する一連の騒動は記憶に新しいところでしょう。
その報告とは、下記のようなものでした。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。
「正式の報告書として受け取らない」と前代未聞の不受理となり、政府はうやむやにしてしまったわけですが、火のない所に煙は立たぬと言います。
このニュースが取り上げられた後、「つみたてNISA」や「iDeco」を検討している人は、確実に増えているはずです。
自分の大事な資産をどのように扱うべきかは、しっかりと勉強しなければなりませんね。

加えて、小林さんは元銀行員ということで、お金に関する知識が豊富で安心感がありますね。
小林さんのブログでは、「つみたてNISA」の他にも、「ふるさと納税」や「節約術」についても書かれています。
ぜひ一度アクセスしてみましょう。
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