こんにちは。分析おたすけマンこと、山根です(Twitterはこちらから)。
日経BP総研が開催した「社内コミュニケーション改革セミナー」で、ある調査結果が発表され話題となりました。
それは、
という調査結果。
日本企業の会社員の多くは、
- 仕事への誇り
- 職場でのつながり
を感じられていないそうです。
そして職場で孤独を感じている人は、リスクが大きいという検証も。
- 心疾患や不安神経症
- 創造力の低下
- 職務遂行能力の低下
などを引き起こし、仕事のパフォーマンスを低下させているという事実があるそうです。

発言には理想論も少し含まれますが、職場で孤独を感じている人の参考になるはず。最後までぜひ読んでみてください。
職場で孤独を感じるのは人間関係が原因
仕事で多くの人が重要視するのは上司や同僚との関係ではないでしょうか。
いきなり結論ですが、同僚や上司と気軽な関係を築くことで、職場での孤独感はなくなります。
ポイントは2つ。
- 人間関係が幸福を生み出すと理解する
- 自分と他人は違う生き物だと理解する
上記の事柄を認めず逃げてしまっては、孤独を感じる癖を克服することは難しいかもしれません。
調査データから見る「孤独な職場」
日経BP総研の「職場で孤独を感じるか」というアンケート回答者の属性は、
- 従業員数1000人以上の企業に勤務する人が全体の約6割
- 役職では部長や課長クラスが全体の5割以上を占める
という具合。
職場で孤独を感じる理由として挙げられたのは、
- 自己中心的な人が多い・・・35%
- 職場内の関係が希薄・・・34%
- 世代間ギャップ・・・34%
- 仕事が縦割り・・・32%
- 助け合う雰囲気がない・・・20%
- IT化による対話の減少・・・11%
という結果でした。
社内コミュニケーションで抱える課題として、下図のような結果も発表されています。
人間関係が良ければ幸福度は高まる
世界中の大学教授や研究者らが、長らく職場環境について調査をして論文を発表しています。
研究結果を通じてわかっていることがあります。
それは、
ということです。
幸福感が高いのはどんな人? というハーバード大学の研究結果では、「お金を持って裕福な人」でも「大きな業績を成し遂げた人」でもなく、「親しい友人がいる」ということだったんです。
ちなみに職場に友人がいる人の離職率は低いというデータもあります。
自分と他人は違う
そして当たり前のことですが、孤独にさいなまれないためには「他人と自分は違う」ことを理解する必要があります。
よくいる仕事大好きモーレツ上司は、
「この新しい戦略でいこう」
「大きな目標に取り組んでいこう」
と叱咤激励して、やる気を引き出そうとします。
でも、それがやる気を下げるという逆効果になる人もいます。
人にはタイプがあって、
- 新しいことに挑戦したい
- 人の役に立ちたい
- 自分の好きなことをしたい
など、やる気スイッチはさまざまです。
タイプによって、やる気スイッチを押すポイントを理解しないと「孤独な職場」を生み出しやすいと言えるかも。
例えば、達成欲求が強い人であれば、「勝ち負け」を重視し、「すごい」という言葉でモチベーションが高まります。
貢献欲求が気持ちを左右するタイプは、「ありがとう」という言葉に反応し、仕事に「善悪」を重視するでしょう。
このあたりの分析方法については、記事の後半でも紹介するリンクアンドモチベーションという会社のノウハウがとても参考になります。
職場の孤独は伝染する
孤独とは、社会的なつながり、または他人との関係性が十分でないという感覚です。
つまり主観的な感覚が「孤独」であるとも言えます。
自分の内面に大きく影響し、他人との関わり方や考え方の違いが重要な要因となってくるんです。
そして孤独という感覚は、まわりにも影響を与えてしまいます。
「あの人、話しかけにくい」という空気をまとってしまうと、それは他の人にも伝染していきます。

職場というのは、ある意味で特殊な空間と言えます。
ホワイトカラーのオフィスだと特にそうです。
職場は人が集まる場所ですが、
- 有意義なつながりが保証されているわけではない
- 全員がパソコンを見つめているか、会議や営業に出ていてコミュニケーションのハードルが高い
という状況ではないでしょうか。
つながりを築ける場所かどうかは疑問ですよね。
起きている間の時間を平均すると、家族より職場の同僚と過ごす時間のほうが長いのに、職場では仕事以外のことで共有できることはあまりありません。
「なぜ孤独を感じるのか?」「その原因は何なのか?」ということを考え、解決方法を探してみたいと思います。
孤独にさいなまれる未来
職場の環境を変えるために、社内交流イベントを企画したり、上司との昼食会や同僚同士で飲みに行ったりということを思いつくかもしれません。
僕もそういった試みについて、話を聞くことがよくありました。
しかし多くの場合、始めたはいいものの、次第に意味のなさないものになってしまうことがほとんどのようです。
- 会話がいつも仕事の話になってしまう
- エネルギーを充電するための余暇時間を吸収されてしまう
- 愚痴の言い合いと噂話が始まってしまう
という結果、下手をすれば疎外感が増す原因となってしまっているようです。
職場の孤独感というのは、むしろ社内だけで解決できる話ではなく、社外にも要因があると考えます。
社外の要因も考えてみましょう。
一人暮らしが増えている
総務省の国勢調査によると、一人暮らし世帯が「夫婦と子供から成る世帯」を上回り,最も多い家族類型という結果。
日本では3人に1人が一人暮らしということになります。
友人や家族と離れて暮らし始め、人間関係を会社に依存してしまうというのは原因の一つでしょう。
リモートワークや在宅勤務
働き方の多様化、テクノロジーの進化によって会社に行かなくても働ける時代が近づいています。
リモートワークは非常に時間効率がよく、育児や介護の必要がある人にとっては理想の働き方といえるでしょう。
しかし、パソコンやスマホを通して接する人物は、自然とバーチャル化、アバター化してしまいます。
そうすると、むしろ仕事の場で人間と接する機会が減り、余計に孤独を感じてしまう人もいるでしょう。
人や会社、政治に対する不信感
終身雇用崩壊、早期退職、経営不振のニュースなど孤独を深める要因は、不信感にもあります。
基本的に人は、信頼していない他人と関わり合いたくないものです。
そして、信頼するかどうかという決断は日々くだされていて、人間関係は不確実という状態のなかで成り立っています。
SNSなどの情報発信では透明性、共感という基準が重要であるように、ストーリー性のない情報は不信感を生みやすいといえるでしょう。
孤独に関する自分の体験
なんだか偉そうな感じで、孤独の原因を分析してしまいましたが……。
自分の経験を話すと、40歳になったときに立ち止まってしまった時期がありました。
- 仕事に対して「燃え尽き症候群」のようになってしまい、どうしてもやる気が湧かなくなってしまった
- 意見のすれ違いから自分の評価を下げることが嫌で、上司の言われたことだけする「Yesマン」になってしまった
- 給料が上がらないという将来への不安感があった
ということが理由です(振り返ってみるとですが……)。
「40歳からブログのすゝめ」という記事にも書いたのですが、「人にはそれぞれペースがある」「肩書が会社員でしかない」と気付いたときに、自分の中に大きな変化が生まれました。
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孤独ではなくなるための方法
結局のところ、人間関係というのは
- 同類の集まり
- 異なる関係性の混合
に集約されるわけです。
人間関係とはそういったものだと開き直るべきです。
しかし、それがわかったとしても、できることは多くありません。
それでも何かできることがあるとすれば、
これかなと思います。
インターネットを通じて人間関係を作る必要性
未来への進化で素晴らしいことの一つは、人間関係を築く方法が拡大していること。
インターネットで世界中と結びつき、オンサインサロンなどオンライン上のコミュニティに誰でも参加できる時代。
古い仕事観では、「やる気」「野心」「競争力」が成功の法則でしたが、これからの時代はそんな単純なことではなく、無限の組み合わせが生まれたと言えるでしょう。
僕の場合は、ブログやTwitterがその手段になっています。
自分の得意なこと、好きなことを他人に知ってもらう。
そして、自分の関心を公の場で表明することが大切です。
最初は面倒くさい、恥ずかしいという気持ちが勝るかもしれません。
しかし、始めてしまえばそんなことは気にならなくなります。
人間はそもそも社交的な動物で、協力し共感できる性質を備えています。
近い将来に、好きな人・信頼できる人とだけ交わり、情熱を傾けられる仕事だけ選べる時代がくるはずです。
孤独を感じたときに読みたい本
最後に孤独を感じたときにオススメの本をお伝えします。
ワーク・シフト
人生100年時代を提唱した話題作『LIFE SHIFT』のリンダ・グラットンの著書。
孤独と貧困から自由になる働き方の未来図とあるとおり、孤独に関するすべての問題に向き合っている本です。
自由で創造的な人生を過ごしたい方におすすめ。
すべての組織は変えられる
やる気を呼び覚ます、社員エンゲージメントなど独自の分析手法で働き方を変革しているリンクアンドモチベーションという会社。
取締役である麻野耕司さんの著書です。
時代遅れの会社はなぜ時代遅れなのか? ということが書かれていて、「ヒトをつくる」ということに注目し、具体的な解決策を考えた内容となっています。
99%の会社はいらない
仕事を楽しいにするために、「日本の会社のおかしなところ」「遊びを仕事にする」といった視点で、ホリエモン節が炸裂しています。

現状を分析して未来を創造していきましょう。
孤独を感じる職場なのであれば、転職を考えることも有効な手段です。
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